ソシオロジー領域 教授 真鍋 一史

観念でグローバルを語る時代は終わった。世界地図の中で考え、行動しよう。

真鍋 一史の写真 ソシオロジー領域 教授 真鍋 一史 慶應義塾大学法学部政治学科卒。同大学法学研究科政治学専攻修士・博士課程修了。専門は社会学、社会調査論、コミュニケーション論。社会調査士資格制度の確立に力を尽くす。海外の大学での研究、講義歴も多彩。日本学術会議連携会員。

これまでの私の仕事

現実に向き合うために、社会調査の方法論が必要になる。

真鍋 一史の写真私の研究歴はいわゆる学際研究でした。社会学や政治学、心理学などを学びながら、他方でマス・コミュニケーションや国際文化交流、国際イメージ、広告、日本語、日本人論、消費者行動、宗教意識などの研究を行ってきました。その中で、私は従来の日本の学問は欧米で蓄積されたものの受容とその整理が中心であったと感じたのです。日本の学問が、自ら社会の現実に向き合い、調査し、その分析から理論を導き出すものになっていないと感じたとき、私は実証的な社会調査や、コミュニケーションの様式を学ばなければ、日本の社会学などの学問は、生きて役に立つものになり得ないと考えました。

私の授業はここが面白い

ただ既知の情報を積み上げる百科全書的な知識はもう役に立たない。

真鍋 一史の写真外務省からの要請で日本代表としてアンドラ公国で開催されたヨーロッパ評議会の「学術・文化・教育委員会」に出席した際、翌日の地元新聞の一面記事に掲載された。

大学は、教科書的な知識を積むところではなく、新たな知の創造を目指すところです。どんな小さなことでも、今まで検証されていないところを調査し、見えていなかったことを自分の手で明らかにし、それをもとに新たな理論をつくる、あるいは方法を開発する。それが大学です。私が行ってきた教育は、自ら知識をつくれるようになるためのもの。本当の学問は、知の蓄積の自己運動であるだけでなく、実際の社会にも役立つものであるはずなのです。私はそういった学びを「国際比較調査」に関する理論や方法論の研究、社会調査実習などを通じてともに追求していきたいと考えています。

受験生へのメッセージ

教室の外に出よう。
そこで現実に向き合い、リアルな世界を前に考え、行動すること。

真鍋 一史の写真「世界地図の中で考える」という言葉があります。もう「国際」という考え方だけでは世界はつかめない。世界の中心は国ではなく国を超えたグローバルな人の交流です。確かに日本でも「グローバル」という言葉は盛んに使われています。しかし、それらは観念にとどまり、リアリティを持っていません。本当の意味で世界と触れ合うとはどういうことなのか。皆さんには、国や社会の枠にとらわれないという学生の最大の特権を活かし、世界と真正面から向き合うことで、皆さんにしか見つけられない社会的事実を探し出してほしい。その発見が、人と人のつながりや世界の見方を大きく変えることにつながるかもしれません。真理をともに探求していきましょう。